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神戸地方裁判所 平成8年(ワ)1109号 判決 1997年2月12日

原告

原田正男

被告

千石三成

ほか一名

主文

一  被告らは連帯して原告に対し、金六四万一六六六円及び内金五八万一六六六円に対する平成七年一月六日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

二  原告のその余の請求をいずれも棄却する。

三  訴訟費用はこれを五分し、その二を原告の負担とし、その余を被告らの負担とする。

四  この判決の第一項は仮に執行することができる。

事実及び理由

第一請求

被告らは連帯して原告に対し、一〇三万八〇五〇円及び内九三万八〇五〇円に対する平成七年一月六日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

第二事案の概要

本件は、停車中の自動車に損傷をつけられたとして、その所有者である原告が、被告千石三成(以下「被告千石」という。)に対しては民法七〇九条により、被告有限会社パール運輸(以下「被告会社」という。)に対しては民法七一五条により、それぞれその損害賠償を求めた事案である。

一  争いのない事実

1  次のとおり事故(以下「本件事故」という。)が発生した。

(一) 日時 平成七年一月六日午前一〇時三〇分頃

(二) 場所 神戸市須磨区飛松町三丁目一三番三号先市道

(三) 加害車 被告千石運転の普通貨物自動車(富山一一う五四〇四号、以下「被告車」という。)

(四) 被害車 訴外原田厚子運転、原告所有の普通乗用自動車(神戸三三う三八〇四号、以下「原告車」という。)

(五) 態様 被告車が停車中の原告車の右側面を擦つて、同車に損傷をつけた(検甲一の一ないし三、証人原田厚子)

2  責任原因

(一) 被告千石は、側方の安全注意義務を怠り、本件事故を発生させたものであるから、民法七〇九条により、原告が受けた後記損害を賠償する責任がある。

(二) 被告会社は、本件事故当時、被告千石を使用し、同被告が被告会社の業務に従事中、本件事故が発生したものであるから、民法七一五条により、右損害を賠償する責任がある。

二  争点

原告に生じた損害額

第三争点に対する判断

一  原告に生じた損害額について

1  修理費用(請求及び認容額・三二万三七五〇円)

証拠(甲一、検甲一の一ないし三、証人原田厚子)によると、原告車は、本件事故によつ、相当の損傷を受け、日産プリンス兵庫販売株式会社兵庫営業所にその修理費用の見積りを依頼し、消費税を含めて三二万三七五〇円を要する旨の見積書を作成してもらつたことが認められる。

被告らは、右修理内容には、マイナーパーツ、防錆ワツクス及びベルトが含まれているが、本件事故の修理として必要がない旨主張するが、右主張を裏付ける証拠がないうえ、右見積りはその見積者等を考慮すると、十分信用できるというべきである。

右認定によると、原告車の相当な修理費用は三二万三七五〇円とみるのが相当である。

2  休車代金(請求及び認容額・一五万円)

証拠(甲四、証人原田厚子)によると、原告は、原告車の修理等につき、被告らと話合いがつかなかつたが、自動車が必要であつたため、業者から原告車と同程度の代車を一〇日間借り、その費用として一五万円を支払つたこと、原告は、原告車の修理期間として一〇日間程度が必要であると言われていたが、同車を修理しないで新車を購入し、その納車期間として一〇日間を要したこと、原告は、現在、原告車を修理しないまま自宅に置いていることが認められる。

右認定によると、原告が支払つた代車費用は、修理に必要な期間の代車費用と同額であるから、相当な休車代金として認めることができる。

3  車両評価損(請求額・一六万九〇〇〇円) 一〇万七九一六円

前掲各証拠によると、原告は、原告車を新車として購入の約四か月後に本件事故により損傷を受けたことが認められる。

前記認定によると、原告車は、未だ修理はなされていないものの、前記業者のもとで、前記修理費用をかけて修理がなされれば、完全に復元するものと推測できるが、事故歴のある車両は、そのこと自体で交換価値が下落するというわが国の実体を考えると、初度登録からあまり年数が経過していない場合、相当の車両評価損を認めるのが相当である。

ところで、事故減価額証明書(甲二)中には、原告車は、本件事故により一六万九〇〇〇円減額したことを証明する旨の記載があるが、その根拠が記載されていないから、にわかに採用しがたい。

そこで、原告車の車種、年式、損傷の内容、程度、修理費用額等諸般の事情を総合考慮のうえ、前記修理費用三二万三七五〇円の三分の一である一〇万七九一六円(円未満切捨)をもつて原告車の評価損とみることとする。

4  原告車の買換えによる損害(請求額・二九万五三〇〇円) 〇円

原告車は修理がなされれば完全に復元するものであることは前記のとおりであるから原告主張の原告車の買換えによる損害を相当な損害とみることはできない。

従つて、この点の原告の請求は理由がない。

5  前記1ないし3の損害合計 五八万一六六六円

6  弁護士費用(請求額・一〇万円) 六万円

本件事案の内容、審理経過及び認容額等の諸事情に鑑みると、弁護士費用としては六万円が相当である。

二  結論

以上の次第で、原告の本訴請求は、被告らに対し連帯して、損害金六四万一六六六円及びうち五八万一六六六円に対する不法行為の日である平成七年一月六日から支払済みまで民法所定の年五分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由があるからこれを認容し、その余は理由がないからこれを棄却することとする。

(裁判官 横田勝年)

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